ジベルばら色粃糠疹(じべるばらいろひこうしん)

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ジベルばら色粃糠疹について

ジベルばら色粃糠疹(じべるばらいろひこうしん)は、比較的稀な慢性の炎症性皮膚疾患です。この疾患は、フランスの皮膚科医ジベル(Gibert)によって初めて報告されたことから、その名前が付けられました。
主に若年成人から中年の方に発症し、男性にやや多い傾向が見られます。特徴的な症状として、体幹や四肢に鮮やかなピンク色や赤褐色の小さな丸い斑点(直径5-10mm程度)が多数現れます。これらの斑点は、表面に細かい鱗屑(りんせつ:皮膚の角質が剥がれたもの)を伴うことが多く、これが「粃糠(ひこう)」という名前の由来となっています。
ジベルばら色粃糠疹は、一般的に良性の経過をたどりますが、慢性的に症状が持続したり、再発を繰り返したりすることが多いのが特徴です。多くの場合、数週間から数ヶ月で自然に軽快しますが、中には数年にわたって症状が持続する例もあります。
この疾患は見た目の問題だけでなく、かゆみを伴うこともあるため、患者様のQOL(生活の質)に大きな影響を与える可能性があります。また、症状が顔面や露出部に現れた場合は、社会生活に支障を来すこともあります。

ジベルばら色粃糠疹の原因

ジベルばら色粃糠疹の正確な原因は、現在でも完全には解明されていません。しかし、以下のような要因が関与していると考えられています。

微生物の関与

一部の研究では、マラセチア属やコリネバクテリウム属などの皮膚常在菌が本疾患の発症に関与している可能性が指摘されています。これらの微生物が何らかの理由で過剰に増殖することで、皮膚の炎症反応を引き起こす可能性があります。

免疫系の異常

ジベルばら色粃糠疹患者の皮膚では、特定の免疫細胞(T細胞)が増加していることが報告されています。これは、何らかの免疫系の異常が本疾患の発症に関与している可能性を示唆しています。

遺伝的要因

家族内発症の報告があることから、遺伝的要因も関与している可能性が考えられています。ただし、明確な遺伝形式は特定されていません。

環境因子

気候の変化(特に高温多湿の環境)や、ストレス、疲労などの環境因子が症状の発症や悪化のトリガーとなる可能性が指摘されています。

ホルモンバランスの変化

一部の患者様では、妊娠や月経周期に伴って症状が変化することがあります。このことから、ホルモンバランスの変化も本疾患の発症や経過に影響を与える可能性が考えられています。

薬剤の影響

特定の薬剤(抗生物質や抗マラリア薬など)の使用後に発症したケースも報告されており、薬剤が誘因となる可能性も示唆されています。

他の疾患との関連

稀ですが、HIV感染症や自己免疫疾患などの全身性疾患に伴って発症することがあります。

こんな症状でお困りではありませんか?

・体幹や四肢にピンク色や赤褐色の小さな斑点が多数現れた
・斑点の表面に細かい鱗屑(フケのようなもの)がある
・斑点にかゆみを感じる ・症状が数週間以上続いている
・斑点が徐々に広がっている
・症状が一旦良くなっても再発を繰り返す
・顔や首など、人目につく部分に斑点が現れて気になる
・季節の変わり目や汗をかいた後に症状が悪化する
・ストレスや疲労で症状が悪化する
・通常の保湿剤や市販薬では改善しない
など

このような症状でお困りでしたら、西宮市の甲子園駅前おおした皮フ科クリニックへご相談ください。

ジベルばら色粃糠疹の検査方法

ジベルばら色粃糠疹の診断は、主に症状の観察と以下のような検査方法を組み合わせて行います。当院では、患者様の症状や状態に応じて適切な検査を選択し、正確な診断に努めています。

視診と触診

医師が患部を詳細に観察し、発疹の形状、分布、色などを確認します。また、触診によって皮膚の状態(乾燥、鱗屑の有無など)を評価します。ジベルばら色粃糠疹は特徴的な外観を持つため、経験豊富な医師の視診だけでも高い確率で診断が可能です。

ウッド灯検査

暗室でウッド灯(紫外線ランプ)を当てると、一部の症例で病変部が黄色や橙色の蛍光を発することがあります。これは、マラセチアなどの真菌が関与している可能性を示唆します。

皮膚生検

診断が難しい場合や、他の皮膚疾患との鑑別が必要な場合には、皮膚生検を行うことがあります。局所麻酔を行った後、小さな皮膚片を採取し、顕微鏡で詳細に観察します。ジベルばら色粃糠疹に特徴的な組織像(表皮の海綿状態、真皮上層の血管周囲の炎症細胞浸潤など)を確認することで、確定診断を行います。

真菌検査

KOH直接鏡検や培養検査を行い、マラセチアなどの真菌の関与を調べることがあります。これは、類似疾患(癜風など)との鑑別にも役立ちます。

パッチテスト

接触皮膚炎との鑑別が必要な場合には、パッチテストを行うことがあります。これは、アレルギーの原因となる可能性のある物質を皮膚に貼り付け、反応を観察する検査です。必要時は兵庫医科大学病院などの連携施設に紹介します。

血液検査

全身状態の評価や他の疾患との鑑別のために、一般的な血液検査を行うことがあります。特に、免疫機能や炎症マーカーの評価に役立ちます。また、稀に全身性疾患に伴って発症することがあるため、必要に応じてHIV検査や自己抗体検査なども考慮されます。

アレルゲン特異的IgE検査

アレルギー性疾患との鑑別が必要な場合には、アレルゲン特異的IgE検査を行うことがあります。これにより、特定のアレルゲンに対する感作の有無を確認することができます。

ジベルばら色粃糠疹の治療方法

ジベルばら色粃糠疹の治療は、症状の軽減と再発予防を目的として行われます。完全な治癒は難しいケースも多いですが、適切な治療とケアにより、症状のコントロールが可能です。当院では、患者様の症状の程度や生活環境に合わせて、最適な治療方法をご提案しています。

薬物療法

外用ステロイド薬

炎症を抑制し、かゆみを軽減するために、ステロイド外用薬を使用することがあります。症状の程度に応じて、適切な強さのステロイド薬を選択します。ただし、長期使用による副作用に注意が必要です。

抗真菌外用薬

マラセチアなどの真菌が関与している可能性がある場合には、抗真菌外用薬(ケトコナゾールなど)を使用します。

プロトピック軟膏(一般名:タクロリムス軟膏)

ステロイド外用薬の代替として、タクロリムス軟膏を使用することがあります。これは、免疫調整作用を持つ非ステロイド性の外用薬で、長期使用時の副作用が比較的少ないという利点があります。

内服薬

広範囲の病変や重症例では、以下のような内服薬を使用することがあります。

●抗生物質:ミノマイシン(一般名:ミノサイクリン)やビブラマイシン(一般名:ドキシサイクリン)などのテトラサイクリン系抗生物質が有効な場合があります
●抗ヒスタミン薬:かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬の内服を併用することがあります

保湿療法

皮膚のバリア機能を改善し、症状の悪化を予防するために、適切な保湿剤の使用が重要です。

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