- HOME>
- 赤い・白いぶつぶつニキビ(稗粒腫)
赤いニキビ・白いぶつぶつ(稗粒腫)について
稗粒腫(ひりゅうしゅ/はいりゅうしゅ)は、皮膚に現れる小さな隆起性の良性腫瘍で、主に顔面や首、胸部などに発生します。その名前の由来は、外観が稗(ヒエ)の粒に似ていることからきています。
稗粒腫は通常、直径1~2mm程度の白色または肌に近い色の小さな隆起として現れます。触ると硬く、つるつるした表面を持っています。多くの場合、複数個が集まって現れることが特徴的です。
稗粒腫は良性の腫瘍であり、健康上の問題を引き起こすことはありません。しかし、顔面など目立つ部位に現れることが多いため、美容上の悩みの原因となることがあります。特に、多数の稗粒腫が現れた場合は、患者様のQOL(生活の質)に影響を与える可能性があります。
稗粒腫は、一般的に「白ニキビ」や「白い粒々」などと呼ばれることもありますが、実際のニキビ(尋常性痤瘡)とは異なる病変です。ニキビが毛包や皮脂腺の炎症によって生じるのに対し、稗粒腫は表皮の角化異常によって生じます。
稗粒腫は年齢を問わず発生する可能性がありますが、特に思春期から若年成人に多く見られます。また、女性に多い傾向があります。
稗粒腫の原因
稗粒腫の正確な発生メカニズムは完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。
角化異常
稗粒腫の主な原因は、表皮の角化異常です。通常、表皮の角質層は徐々に剥がれ落ちていきますが、稗粒腫では角質が正常に剥がれ落ちず、毛包や汗腺の開口部で蓄積します。この蓄積した角質が小さな隆起(稗粒腫)を形成すると考えられています。
遺伝的要因
稗粒腫の発生には遺伝的な素因が関与している可能性があります。家族内で稗粒腫が多く見られる傾向があることから、特定の遺伝子が稗粒腫の発生リスクを高める可能性が指摘されています。
ホルモンバランスの変化
思春期や妊娠中など、ホルモンバランスが大きく変化する時期に稗粒腫が現れやすくなる傾向があります。特に、女性ホルモン(エストロゲン)の変動が稗粒腫の発生に関与している可能性が考えられています。
紫外線暴露
過度の紫外線暴露が稗粒腫の発生を促進する可能性があります。紫外線による皮膚ダメージが、表皮の角化異常を引き起こし、稗粒腫の形成に繋がる可能性があります。
皮膚の乾燥
皮膚の乾燥は角質層の異常を引き起こし、稗粒腫の形成を促進する可能性があります。特に、乾燥肌の方や、過度に乾燥させるスキンケア製品を使用している方に稗粒腫が多く見られる傾向があります。
皮膚への刺激
頻繁に皮膚を擦る・摩擦など、機械的な刺激が稗粒腫の形成を促進する可能性があります。特に、過度に強い力で洗顔を行ったり、粗い素材のタオルで皮膚を擦ったりすることで、稗粒腫が発生しやすくなることがあります。
化粧品やケア用品の影響
一部の化粧品やケア用品が稗粒腫の形成を促進する可能性があります。特に、油分の多い製品や、皮膚を過度に乾燥させる製品の使用が稗粒腫の発生リスクを高める可能性があります。
皮膚のバリア機能の低下
皮膚のバリア機能が低下すると、外部からの刺激に対して皮膚が過敏になり、角化異常を引き起こしやすくなります。これが稗粒腫の形成に繋がる可能性があります。
こんな症状でお困りではありませんか?
・顔や首に小さな白いぶつぶつができている
・触ると硬い小さな隆起がある
・化粧のりが悪くなった
・ぶつぶつが徐々に増えてきている
・顔の質感が変わったように感じる
・ぶつぶつを無理に潰そうとして炎症を起こした
・ぶつぶつが気になって自信が持てない
・スキンケア製品を変えても改善しない
・日光にあたるとぶつぶつが目立つように感じる
・ぶつぶつが胸やデコルテにも広がってきた
・年齢とともにぶつぶつが増えてきた
・化粧をしてもぶつぶつが隠れない
など
このような症状でお困りでしたら、西宮市の甲子園駅前おおした皮フ科クリニックへご相談ください。
稗粒腫の検査方法
稗粒腫の診断は、主に症状の観察と以下のような検査方法を組み合わせて行います。当院では、患者様の症状や状態に応じて適切な検査を選択し、正確な診断に努めています。
問診
発症時期、経過、悪化因子、既往歴、家族歴、使用中の化粧品や医薬品などについて詳しくお聞きします。特に、スキンケア習慣や生活習慣、ストレス状況なども確認します。
視診
医師が肉眼で肌の状態を詳細に観察します。稗粒腫の特徴的な小さくて硬い白いぶつぶつを識別します。稗粒腫の大きさ、色、分布などを確認し、他の皮膚疾患との鑑別を行います。特に、白ニキビ(面皰)や粉瘤(ふんりゅう)など、類似した外観を持つ皮膚病変との区別が重要です。
触診
医師が指で肌を触れて確認します。稗粒腫の硬さや大きさを確認し、診断を補助します。稗粒腫は通常、触ると硬く、つるつるした感触があります。これは、白ニキビなどの他の皮膚病変と区別する重要な特徴の1つです。
ダーモスコピー検査
皮膚を拡大して観察する特殊な機器を用いた検査方法です。稗粒腫と他の皮膚疾患(白ニキビや粉瘤など)との鑑別を行います。
稗粒腫の治療方法
稗粒腫の治療方法は、症状の程度や患者様の希望などによって選択されます。当院では、患者様の状態や希望に応じて、以下のような治療方法をご提案しています。
針による除去
滅菌した針を用いて稗粒腫を開き、中の内容物を除去する方法です。稗粒腫を物理的に取り除くことで、即時に改善が見られます。少数の稗粒腫に対して効果的です。
電気焼灼術
電気メスを用いて稗粒腫を焼き切る方法です。局所麻酔下で行われ、比較的短時間で処置が可能です。稗粒腫を確実に除去できますが、処置後に小さな痂皮(かさぶた)ができ、1~2週間程度で脱落します。
冷凍凝固療法
液体窒素を用いて稗粒腫を凍結する方法です。稗粒腫の組織を破壊し、自然に脱落させる効果があります。痛みが少なく、短時間で処置が可能ですが、処置後に水疱ができることがあります。色素沈着のリスクがあるため、肌の色が濃い方には注意が必要です。
アダパレン外用薬(ディフェリンゲル)
トレチノインと同様にレチノイド系の薬剤で、皮膚のターンオーバーを促進し、毛包の角化を正常化する効果があります。抗炎症作用もあります。トレチノインに比べて刺激が少なく、長期使用が可能です。既存の稗粒腫への効果は限定的ですが、新たな稗粒腫の形成を予防する効果が期待できます。
過酸化ベンゾイル製剤(ベピオゲル、ベピオローション、デュアックゲル、エピデュオゲル)
・過酸化ベンゾイル(ベピオゲル、ベピオローション):角質剥離(ピーリング)作用、酸化作用による殺菌作用があります。耐性菌を作らないので維持療法として長期使用ができます。
・クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル配合剤(デュアック配合ゲル):ベピオゲルに抗菌作用が追加されたお薬です。炎症性皮疹(赤ニキビ、黄色ニキビ)に特に効果的です。
・アダパレン/過酸化ベンゾイル配合剤(エピデュオゲル):ディフェリンゲルとベピオゲルの効果をあわせもったお薬です。抗炎症作用と面皰(毛穴のつまり)改善効果もどちらも強いです。萎縮性瘢痕(へこんだニキビ痕)形成予防のエビデンスがあります。
サリチル酸外用薬
角質溶解作用のあるサリチル酸を含む外用薬を使用します。稗粒腫の角質を軟化させ、徐々に除去する効果があります。刺激が少なく、長期使用が可能ですが、効果が現れるまでに時間がかかります
サリチル酸ピーリング:顔のみ8800円(税込)
サリチル酸マクロゴールピーリングは皮膚の表面にある古くなった角質を取り除き、肌の再生を促進させる美容治療です。ニキビのガイドラインでも推奨されています。稗粒腫に加えて、ニキビ肌やニキビ跡、肌のごわつき、毛穴の開き、毛穴の黒ずみの改善が期待でき、お肌全体のトーンアップ効果もあります。サリチル酸マクロゴールでは4週間に1回程度のペースでの継続した施術をお勧めいたします。ただし、効果や効果の実感までの期間や回数には個人差があります。