蕁麻疹

蕁麻疹とは?

蕁麻疹(じんましん)は、皮膚表面に一時的に出現する赤い膨らみや、斑点といった症状が特徴的な皮膚疾患です。これらの症状は、皮膚の深い部分にある血管が拡張し、液体が周囲の組織に漏れ出ることで生じます。
短時間から数日間持続するかゆみを伴う膨らみが発生し、これが典型的な蕁麻疹の症状となります。
蕁麻疹の発生は、体内の免疫系が何らかのアレルゲン(アレルギーの原因物質)に過敏に反応し、ヒスタミンなどの化学物質を放出することによって引き起こされます。これらの化学物質が血管の透過性を高め、皮膚の膨らみや赤みといった症状を引き起こします。

蕁麻疹のメカニズム

蕁麻疹の原因

蕁麻疹の原因は非常に多岐にわたります。アレルギー反応が原因である場合、食品、薬物、花粉などがその原因物質として挙げられます。

また気温の変化や冷たい水、日光などの物理的な刺激、心理的ストレスが原因となることもあります。

じんましんの原因・誘因の例
食物 魚介類(サバ、エビ、カニなど)、卵・乳製品(鶏卵、牛乳、チーズなど)、肉類(豚肉、牛肉、鶏肉など)、穀類・野菜(大豆、小麦、蕎麦など)、食品添加物、人工色素、防腐剤(パラベンなど)
薬剤 抗生物質、非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリンなど)、せき止めなど
植物・昆虫:イラクサ、ゴム、ハチ など(触れる・刺される)
物理的な刺激:下着などによる摩擦や圧迫、こすれ、寒冷・温熱刺激、日光など
その他  運動や発汗(特定の食品や体質などと組み合わさって原因となる)
内臓・全身の病気(甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、膠原病など)
疲労・ストレス(身体的・精神的なもの)

 

蕁麻疹の種類
急性蕁麻疹

急性蕁麻疹は、発症してから1ヶ月以内の症状が見られるものを指します。細菌やウイルスの感染、特定の食品や薬物への反応などが原因で起こることが多く、比較的原因が特定しやすいと言えます。

症状は比較的短期間にわたり、適切な治療を行うことで、早期に改善が見込めることが特徴です。

慢性蕁麻疹

一方、慢性蕁麻疹は、発症から1ヶ月以上続く症状が見られるものを指し、毎日のように繰り返し症状が現れることが特徴です。

慢性蕁麻疹の場合、原因が特定できないことが多く、患者様自身もどのような要因で症状が引き起こされているのかわからない状態が続くことがあります。そのため、治療は症状のコントロールに重点を置き、QOL(生活の質)の維持・向上を目指します。

物理性蕁麻疹

機械的な摩擦や圧迫、寒冷、日光などの物理的刺激によって生じる蕁麻疹です。蕁麻疹が発生するメカニズムや症状の現れ方はさまざまです。原因や誘因が明確な場合は、それらを引き起こす刺激を取り除くことが治療の基本です。刺激を避ける限り症状は生じず、刺激への過敏症も、時間とともに徐々に軽減する傾向が多いようです。

コリン性蕁麻疹

コリン性蕁麻疹は、アセチルコリンという神経伝達物質に影響を受けた蕁麻疹であります。発汗時に症状が現れることもありますが、逆に発汗できない場合もございます。

蕁麻疹には、数多くの種類が存在し、時には原因特定が難しいこともありますし、複数の要因が絡み合う場合もございます。

コリン性蕁麻疹では、症状の持続時間が比較的短く、主に10代から30代の若い方々に見られる疾患でございます。

アレルギー性蕁麻疹

特定の物質に対して反応し、それに伴う症状が現れるメカニズムがあります。この場合、原因物質であるアレルゲンが体内のIgEと結合し、アレルギー反応を引き起こします。

イントレランス

アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬、色素、造影剤、食品中のサリチル酸によって引き起こされる蕁麻疹は、IgEが関与していません。

こんな症状でお困りではありませんか?

  • 皮膚上に突然赤く膨らんだ発疹が現れる
  • 強いかゆみを伴う発疹が出る
  • 長期間にわたって症状が繰り返し現れる
  • ストレスや疲労時に症状が悪化する
  • 特定の食品を摂取した後に症状が現れる
  • 寒冷や物理的な刺激によって発疹が現れる
子供の症状
  • 喉のイガイガした感じ
  • 目のかゆみ
  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 呼吸の低下

皮膚以外の症状が認められる場合には、アナフィラキシーの可能性があり、早急な受診・治療が必要です。

大人の症状
  • 皮膚の一部が突然、赤く盛り上がり、
  • かゆみ
  • チクチクとした痛み
  • 症状は数十分から24時間で消失するものの繰り返されることも

大人の場合は、急性じんましんより慢性じんましんを発症することが多くなります。

蕁麻疹の検査

当院では、蕁麻疹の原因を特定するために、血液検査をはじめとするアレルギー検査を行います。血液検査(View39)を実施して、アレルゲンを特定し、それに基づいた治療計画を立てます。

蕁麻疹の出た時の対処法

入浴を控え、患部を冷やす

湯浴みは、かゆみなどの症状を悪化させかねません。可能な限り避けていただくようお願い申し上げます。
それに加えて、患部を冷やすことで、かゆみが軽減される可能性がございます。
※寒冷刺激による蕁麻疹が疑われる際には、冷やさないようご注意ください。

刺激の少ない、ゆったりとした衣類で過ごす

締め付ける衣類は、摩擦を引き起こし、症状を悪化させる恐れがありますので、身体との摩擦を減らすためには、ゆったりとした服を着用されることをお勧めします。特に、綿や絹などの生地が適しています。

触らない・掻かない

触れたり引っ掻いたりして皮膚を傷つけないよう、お気をつけください。就寝中、かゆみでかいてしまうことがありますので、お子様も大人もご注意ください。
前述の入浴と服装に関する対処法を実践することが、かゆみを和らげる上で重要です。

早めに皮膚科を受診する

かゆみがひどい場合や皮膚の症状が広がっている場合は、できるだけ早く皮膚科を受診して治療を受けることをお勧めします。抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイドなどを使用した治療が選択肢としてあります。

蕁麻疹の治療

蕁麻疹の治療方法は、原因や症状の重さによって異なります。

基本的には抗アレルギー薬の内服による対症療法が中心となりますが、重症の場合はより効果のある注射薬の使用も検討します。

抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)

ヒスタミンの作用をブロックし、かゆみや発疹を緩和します。初期治療として最も一般的に用いられる薬剤です。ビラノア(一般名:ビラスチン)、デザレックス(一般名:デスロラタジン)、アレグラ(一般名;フェキソフェナジン)、アレロック(一般名:オロパタジン)などを処方し、服用回数・眠気・効果等をみながら調整します。

抗ヒスタミン薬のみではコントロールが困難な際はヒスタミンH2受容体拮抗薬であるファモチジン、抗ロイコトリエン薬、およびトランサミン(一般名:トラネキサム酸)なども併用することがあります。

アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)

第2世代抗ヒスタミン薬。1日2回服用。眠気がでにくく車の運転も可能。 副作用が少なく、花粉症などで広く使用される。効果が不十分な時には倍量にすることもできる。

ビラノア(一般名:ビラスチン)

速やかに作用し、1日1回の服用で24時間にわたる持続効果を発揮する非鎮静性の抗ヒスタミン薬。眠気の副作用がほとんどなく、急なアレルギー症状にも対応可能。 起床時や眠前など空腹時に内服する。

デザレックス(一般名:デスロラタジン)

高い選択性でヒスタミンH1受容体に作用し、24時間持続する効果を持ちながら、日中の活動に支障をきたさない。特に眠気や集中力の低下が少なく、安定したアレルギー症状のコントロールが可能。食事の影響を受けにくく1日1回いつ飲んでもよい。

アレロック(一般名:オロパタジン塩酸塩)

強力かつ持続的な抗ヒスタミン作用を持ち、速効性があるので急性のアレルギー症状にも迅速に対応できる。1日2回の服用で長時間効果が持続し、日常生活での使用に適した薬。

ガスター(一般名:ファモチジン)

主に胃酸分泌抑制に使用されるが、H2受容体をブロックすることで、他の抗ヒスタミン薬と併用して相乗効果により蕁麻疹の症状を効果的に軽減。特に重症例や従来の治療が効果を示さない場合に有効。

トランサミン(一般名:トラネキサム酸)

主に止血剤として使用されるが、抗炎症作用により、蕁麻疹のかゆみや発疹を抑える効果もある。抗ヒスタミン薬と併用することで、通常の治療では不十分な場合に症状の改善が期待できる。

ステロイド

重症の蕁麻疹に対して、短期間のみ使用されることがあります。炎症を強力に抑える効果がありますが、長期使用には副作用のリスクが伴います。

免疫抑制剤

慢性的な蕁麻疹に対して、標準的な治療が効かない場合にネオーラル(一般名:シクロスポリン)などの免疫抑制剤の使用が検討されることがあります。免疫反応を抑制することで症状の緩和を目指します。

ネオーラル(一般名:シクロスポリン)

皮膚科で使用されることの多い免疫抑制剤。免疫系を抑制し、特に重症や慢性の蕁麻疹に対して効果を発揮。通常の治療が効かない場合に使用され、免疫反応を根本から抑えることで長期的な症状の緩和を目指す。使用時は、副作用(免疫抑制作用、腎機能障害、高血圧など)の説明もさせて頂きます。

日常生活上の対策

蕁麻疹の原因となるアレルゲンの特定と回避、ストレス管理など、日常生活における対策も非常に重要です。

蕁麻疹の注射薬~ゾレア~

急性・慢性に関わらず、基本的に蕁麻疹の第一選択となるのは「抗ヒスタミン薬」です。しかし、抗ヒスタミン薬のみで症状が改善しない場合や、難治性の慢性蕁麻疹の場合には、蕁麻疹の注射薬「ゾレア」」(一般名:オマリズマブ)を使用することがあります。

ゾレアとは?

ゾレアは、ヒスタミンの生成の元となるIgEをブロックする作用があり、蕁麻疹の根本原因にアプローチすることが可能な注射薬です。2017年に慢性蕁麻疹治療薬として承認されました。抗ヒスタミン薬では効果が不十分だった慢性蕁麻疹に対しても、高い効果が期待できるとされています。

 

腕などへの皮下注射として行われ、12歳以上の慢性蕁麻疹の患者様が対象となります。従来の治療で効果が感じられなかった患者様にとって、ゾレアは大きな希望となり得ます。

効果は高いですが、4週おきに皮下注射が必要であることや、3割負担で1回あたり13000円程度する効果な薬剤のため、投与の際は慎重に検討する必要があります。

“蕁麻疹の先輩”としてアドバイス

蕁麻疹の原因は多岐にわたり、時には私たち自身の日常生活の中で何気なく接触するものから引き起こされることもあります。ストレスが一因となる場合もあれば、特定の食物を摂取したことによる食物アレルギーの可能性も考えられます。そして、その原因を特定することが難しい場合もあります。

 

当院では、蕁麻疹の原因を特定するための血液検査をはじめとしたアレルギー検査を行い、患者様一人ひとりに合わせた治療方法を提案しています。

初期段階では抗アレルギー薬の内服を中心に治療を行い、症状の重い方にはより効果的な注射薬(ゾレア)を使用することも可能です。

 

院長自身も、大学時代から蕁麻疹に悩まされており、毎日抗ヒスタミン薬を服用しています。勤務医時代は当直などのストレスがかかる際は症状が著明に悪化したため、免疫抑制剤やステロイド内服も使用しておりました。日々の体調によって色々な薬剤を使い分けし、症状を良好にコントロールしています。今ではこういった症状の日はこの薬が効くな、この薬は少し眠たいな、などとある意味楽しみながら蕁麻疹と付き合っています。

 

こうした経験から、“蕁麻疹の先輩”として皆様へ色々とアドバイスできるものと思いますので、症状でお困りでしたらお気軽にご相談ください。

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