- HOME>
- 円形脱毛症、女性の男性型脱毛、休止期脱毛症、トリコチロマニア
脱毛症について
脱毛は、多くの方にとって深刻な悩みの1つです。髪の毛は外見や自己イメージに大きな影響を与えるため、脱毛は単に美容上の問題だけでなく、心理的な影響も大きいものです。脱毛には様々な種類があり、その原因や症状、そして治療方法もそれぞれ異なります。
円形脱毛症は、突然に円形や楕円形の脱毛斑が現れる自己免疫疾患です。女性の男性型脱毛症は、遺伝的要因やホルモンバランスの変化により、主に頭頂部や前頭部の毛髪が薄くなる症状です。休止期脱毛症は、ストレスや栄養不足、手術後などの身体的負荷により、一時的に大量の脱毛が起こる状態です。トリコチロマニアは、心理的な要因により自ら髪の毛を抜いてしまう行動障害です。
これらの脱毛症は、適切な診断と治療により、多くの場合で改善が期待できます。しかし、脱毛の進行度や原因によっては、治療に時間がかかることもあります。早期発見・早期治療が重要であり、脱毛でお悩みの方は、できるだけ早く専門医の診察を受けることをおすすめします。
脱毛症の種類・原因
脱毛には様々な種類があり、それぞれ異なる原因や症状を持っています。以下に、主な脱毛症の種類とその原因について詳しく解説します。
円形脱毛症
円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種で、体の免疫システムが毛髪を異物と認識して攻撃することで起こります。主な特徴は、突然に現れる円形や楕円形の脱毛斑です。円形脱毛症には以下のような種類があります。
単発型
1~2箇所の円形の脱毛斑が見られるタイプです。最も一般的で、比較的予後が良好です。
多発型
複数の円形脱毛斑が見られるタイプです。単発型より症状が重く、治療に時間がかかることがあります。
蛇行型
脱毛斑が帯状に連なって現れるタイプです。頭皮の神経に沿って脱毛が進行する特徴があります。
汎発型
頭部全体や全身の毛髪が抜け落ちるタイプです。最も重症で、治療が困難な場合があります。 円形脱毛症の正確な原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因やストレス、ウイルス感染などが引き金になる可能性が指摘されています。また、他の自己免疫疾患を併発していることもあります。
女性男性型脱毛症
女性男性型脱毛症(FAGA:Female Pattern Hair Loss)は、遺伝的要因とホルモンバランスの変化が主な原因とされる脱毛症です。男性型脱毛症(AGA)と似たメカニズムで起こりますが、症状の現れ方が異なります。主な特徴は以下の通りです。
●頭頂部や前頭部の毛髪が全体的に薄くなります
●M字型の脱毛パターンは男性ほど顕著ではありません
●額の生え際は比較的保たれます
女性男性型脱毛症の主な原因は以下の通りです。
●遺伝的要因:両親からの遺伝的素因が大きく影響します
●ホルモンバランスの変化:女性ホルモン(エストロゲン)の減少や、男性ホルモン(アンドロゲン)の相対的な増加が影響します
●加齢:年齢とともに毛髪の成長サイクルが短くなり、細く弱くなります
●ストレス:慢性的なストレスにより、ホルモンバランスが乱れ、脱毛が促進されることがあります
●栄養不足:特に鉄分や亜鉛、ビタミンB群の不足が毛髪の健康に影響を与えます
休止期脱毛症
休止期脱毛症は、何らかの要因により毛髪の成長サイクルが乱れ、多くの毛髪が一斉に休止期に入ることで起こる脱毛症です。主な原因には以下のようなものがあります。
●ストレス:強い精神的ストレスや身体的ストレスにより、毛髪の成長サイクルが乱れます 手術の影響:全身麻酔を伴う大きな手術の後に発症することがあります
●妊娠・出産:妊娠中や出産後のホルモンバランスの急激な変化により、脱毛が起こることがあります
●薬剤性:抗がん剤や向精神薬、甲状腺薬などの副作用として脱毛が起こることがあります
●ダイエット:急激な体重減少や極端な食事制限により、栄養バランスが崩れ、脱毛が起こることがあります
休止期脱毛症の特徴は、原因となる出来事から2〜3ヶ月後に突然大量の脱毛が起こることです。通常は一時的なもので、原因が解消されれば3〜6ヶ月程度で自然に回復することが多いですが、適切な対処が必要です。
トリコチロマニア
トリコチロマニアは、心理的な要因により自ら髪の毛を引っ張ったり抜いたりしてしまう行動障害です。主に以下のような原因が考えられています。
●ストレスや不安:強いストレスや不安感を感じた時に、無意識のうちに髪を引っ張る行為が習慣化することがあります
●強迫性障害:髪を引っ張る行為が強迫的な行動として現れることがあります 感覚刺激:髪を引っ張る感覚を楽しむために行為が繰り返されることがあります
●自己効力感の低下:自分をコントロールできている感覚を得るために、髪を引っ張る行為を行うことがあります
●トラウマや愛着障害:幼少期のトラウマや愛着形成の問題が、この行動の背景にあることがあります
トリコチロマニアの特徴は、頭皮の特定の部位に不規則な形の脱毛斑が見られることです。また、抜かれた髪の長さが不揃いであることも特徴的です。
こんな症状でお困りではありませんか?
・突然、円形や楕円形の脱毛斑が現れた
・頭頂部や前頭部の髪が全体的に薄くなってきた
・短期間で大量の抜け毛が見られるようになった
・髪の毛を自分で引っ張ったり抜いたりしてしまう
・脱毛が進行し、頭皮が透けて見えるようになった
・髪の毛が細くなり、コシがなくなってきた
・抜け毛の量が急激に増えた
・頭皮にかゆみや炎症が見られる
・脱毛により、外見や自己イメージに自信が持てなくなった
・脱毛が原因で、社会生活や人間関係に支障が出ている
など
このような症状でお困りでしたら、西宮市の甲子園駅前おおした皮フ科クリニックへご相談ください。
脱毛症の検査方法
脱毛症の適切な診断と治療のためには、詳細な検査が必要です。当院では、以下のような検査方法を用いて、脱毛の原因や種類を正確に診断しています。
視診と問診
医師が脱毛のパターンや範囲を詳細に観察し、患者様の病歴や生活習慣について詳しく聞き取ります。これにより、脱毛の種類や原因を特定するための基礎情報を収集します。具体的には、脱毛の部位と範囲、経過、家族歴、既往歴、服用中の薬剤、ストレスの有無や程度、食事や睡眠などの生活習慣、髪の手入れ方法や使用している製品などについて確認します。これらの情報を総合的に分析することで、脱毛の種類や原因についての仮説を立てます。
ダーモスコピー検査
特殊な拡大鏡(ダーモスコープ)を用いて、頭皮や毛髪の状態を詳細に観察します。これにより、毛根の状態や頭皮の異常を確認し、脱毛の種類や原因を特定します。毛髪の太さや密度、毛包開口部の状態、炎症や痂皮の有無、黄色点(脂腺の開大)や黒点(毛包内の角栓)の有無、毛髪の成長段階(成長期、退行期、休止期)の割合などを確認します。例えば、円形脱毛症では「感嘆符毛」と呼ばれる特徴的な毛髪が観察されることがあり、診断の手がかりとなります。
血液検査
必要に応じて、血液検査を行い、ホルモンバランスや栄養状態、炎症マーカーなどを確認します。これにより、内科的な原因(ホルモン異常や栄養不足、自己免疫疾患など)を排除または特定します。
毛髪診断
抜け落ちた毛髪や、必要に応じて採取した毛髪を顕微鏡で観察します。これにより、毛髪の構造異常や成長サイクルの乱れを確認し、脱毛の種類や原因を特定します。毛髪の太さと形状、毛根部の状態(成長期毛か休止期毛か)、毛幹部の異常(キューティクルの損傷など)、毛髪内部の構造(髄質の状態など)を確認します。例えば、休止期脱毛症では休止期毛の割合が増加していることが観察されます。
アレルギー検査
血液検査(特異的IgE抗体検査)などがあります。特に、頭皮に炎症を伴う脱毛症の場合、アレルギー反応が関与している可能性があります。
心理評価
特にトリコチロマニアが疑われる場合、心理状態の評価を行います。これにより、心理的要因による脱毛を特定し、適切な治療方針を決定します。問診による心理状態の確認、心理検査(不安尺度、うつ病尺度など)、必要に応じて精神科医との連携などを行います。
脱毛症の治療方法
脱毛症の治療は、原因や症状の程度によって異なります。当院では、詳細な診断結果に基づいて、患者様お一人おひとりに最適な治療方法をご提案しています。以下に、各脱毛症の主な治療方法をご紹介します。
円形脱毛症の治療
ステロイド外用薬
ステロイドを含むクリームやローション(例:デルモベートローション、アンテベートローション、リンデロンVGローション)を脱毛部位に塗布します。これにより炎症を抑え、毛髪の再生を促進します。ただし、長期使用による副作用に注意が必要です。
塩化カルプロニウム(フロジン)
血流を改善し、毛根の活動を促進させる効果があります。
ステロイド局所注射
脱毛部位にステロイド薬(ケナコルト)を直接注射します。これにより、より強力に炎症を抑制し、毛髪の再生を促します。
免疫抑制外用薬
タクロリムス(プロトピック)、デルゴシチニブ(コレクチム)やピメクロリムスなどの免疫抑制剤を含む軟膏を塗布します。これにより炎症を抑え、毛髪の再生を促進します。ステロイド外用薬と比べて副作用が少ないですが、効果の発現にやや時間がかかります。
紫外線療法(エキシマライト:セラビーム)
エキシマライトなどの特殊な光線を照射します。これにより免疫反応を調整し、毛髪の再生を促進します。定期的な通院が必要で、長期的な効果の持続には継続治療が重要です。
内服薬療法
重症例では、JAK阻害薬などを使用することがあります。これにより全身的に免疫反応を抑制し、毛髪の再生を促進します。ただし、副作用のリスクがあるため、慎重な管理と定期的な検査が必要です。必要な場合は、兵庫医科大学付属病院などの関連病院へ紹介します。
女性の男性型脱毛症(FAGA)の治療
ミノキシジル外用薬
ミノキシジルを含むローションを頭皮に塗布します。これにより血行を促進し、毛髪の成長を刺激します。効果の発現には数ヶ月かかることがあり、継続使用が重要です。当院では市販では販売されていない高濃度のミノキシジルを採用しております。ヴェラルティス1本6500円(60ml 約1か月分)。
日本人女性のための毛髪サプリ オグシ(Ogshi) 1か月分 10580円(税込)
医師により開発された医療機関専売の毛髪サプリ。すべてのタイプの女性の薄毛に確かな効果。14種類の毛髪成分を配合。ハリ・コシ・ツヤのある髪、白髪予防、割れにくい丈夫な爪を育てます。
休止期脱毛症の治療
原因除去
ストレス管理、薬剤の見直し、栄養バランスの改善などを行います。これにより脱毛の根本的な原因を取り除き、自然な回復を促します。
栄養補助療法
鉄分、亜鉛、ビオチンなどのサプリメントを摂取します。これにより毛髪の健康を支え、成長を促進します。
頭皮ケア
頭皮マッサージや適切なシャンプーの使用などを行います。これにより頭皮の血行を改善し、毛髪の成長環境を整えます。
薬物療法
必要に応じて、ミノキシジルなどの発毛促進薬を使用します。これにより毛髪の成長を刺激し、回復を早めます。当院では市販では販売されていない高濃度のミノキシジルを採用しております。ヴェラルティス1本6500円(60ml 約1か月分)。
認知行動療法
専門家による心理療法を受けます。これにより髪を引っ張る行動を抑制し、代替行動を学びます。
習慣逆転訓練
髪を引っ張る代わりに別の行動をとる訓練を行います。これにより望ましくない行動を抑制し、新しい習慣を形成します。
ストレス管理
リラクゼーション法やマインドフルネスなどのストレス軽減法を学びます。これにより行動の引き金となるストレスを軽減します。
薬物療法
必要に応じて、漢方薬を使用します。