後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)

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後天性真皮メラノサイトーシスについて

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM:Acquired Dermal Melanocytosis)は、顔面を中心に現れる青灰色から茶褐色の色素沈着性皮膚疾患です。主に成人の女性に多く見られ、頬骨部や額、こめかみなどに左右対称的に発症することが特徴的です。
ADMは以前、「後天性真皮メラノーシス」と呼ばれていましたが、現在では真皮内にメラノサイト(色素細胞)が増加することが明らかになったため、「後天性真皮メラノサイトーシス」という名称が用いられるようになりました。
この疾患は、肌の深い層(真皮)にメラノサイトが存在することで生じるため、通常の美白治療では効果が得られにくいという特徴があります。また、一度発症すると自然に消退することは稀で、長期間にわたって持続する傾向があります。
ADMは良性の色素沈着であり、健康上の問題を引き起こすことはありません。しかし、顔面に現れるため美容上の悩みの原因となることが多く、患者様のQOL(生活の質)に大きな影響を与えることがあります。
ADMの特徴として、境界が不明瞭で、色調も一様ではなく、まだら状に色素が沈着することが挙げられます。また、肝斑とよく似た外観を呈するため、しばしば誤診される可能性があります。そのため、正確な診断と適切な治療方法の選択が非常に重要となります。

後天性真皮メラノサイトーシスの原因

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の正確な発症メカニズムは完全には解明されていませんが、以下のような要因が複合的に関与していると考えられています。

遺伝的要因

ADMの発症には遺伝的な素因が関与していると考えられています。特定の遺伝子変異が、メラノサイトの真皮への遊走や増殖を促進する可能性が指摘されています。

ホルモンバランスの変化

女性ホルモン(エストロゲン)の変動がADMの発症や悪化に関与している可能性が高いと考えられています。そのため、妊娠中や経口避妊薬の使用、更年期などにホルモンバランスが大きく変化する時期にADMが現れやすくなります。エストロゲンはメラノサイトの活性化や増殖を促進する作用があるため、これらの時期にADMが発症または悪化すると考えられています。

紫外線暴露

紫外線、特にUVA(長波長紫外線)の慢性的な暴露がADMの発症や悪化に関与していると考えられています。紫外線はメラノサイトを刺激し、メラニン色素の過剰生産を引き起こすだけでなく、メラノサイトの真皮への遊走を促進する可能性があります。また、紫外線による酸化ストレスが、メラノサイトの異常な増殖や遊走を引き起こす可能性も指摘されています。

炎症や外傷

皮膚の炎症や外傷が、ADMの発症や悪化のきっかけとなることがあります。炎症や外傷によって放出される様々な因子が、メラノサイトの真皮への遊走や増殖を促進する可能性があります。

自己免疫反応

一部の研究では、ADMの発症に自己免疫反応が関与している可能性が指摘されています。メラノサイトに対する自己抗体が、メラノサイトの異常な活性化や真皮への遊走を引き起こす可能性があると考えられています。

こんな症状でお困りではありませんか?

・頬や額に青灰色や茶褐色の色素沈着がある
・色素沈着の境界がぼんやりしていて、まだら状に見える
・左右対称的に色素沈着が現れている
・日焼けをすると色素沈着が濃くなる
・妊娠中や出産後に色素沈着が目立つようになった
・経口避妊薬の使用後に色素沈着が現れた
・レーザー治療や化学的ピーリング後に色素沈着が現れた、または悪化した
・化粧では完全に隠しきれない
・色素沈着のせいで肌の印象が暗く見える
・年齢とともに色素沈着が徐々に濃くなってきた
・ストレスを感じると色素沈着が濃くなる気がする
・色素沈着があるせいで自信が持てない

など

このような症状でお困りでしたら、西宮市の甲子園駅前おおした皮フ科クリニックへご相談ください。

後天性真皮メラノサイトーシスの検査方法

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の診断は、主に症状の観察と以下のような検査方法を組み合わせて行います。当院では、患者様の症状や状態に応じて適切な検査を選択し、正確な診断に努めています。

視診

医師が肉眼で肌の状態を詳細に観察します。ADMの特徴的な青灰色または茶褐色の色素沈着のパターン、分布、色調などを確認します。左右対称性や境界の不明瞭さ、まだら状の色素沈着など、ADMに特徴的な所見を観察します。また、他の色素性疾患(肝斑、メラノーマなど)との鑑別も行います。

問診

発症時期、経過、悪化因子、既往歴、家族歴、使用中の化粧品や医薬品などについて詳しくお聞きします。特に、妊娠や経口避妊薬の使用、美容治療の経験などについて詳細に確認します。また、日常生活における紫外線暴露の程度やストレス状況なども確認します。

ダーモスコピー検査

皮膚を拡大して観察する特殊な機器を用いた検査方法です。ADMの詳細な構造や色調の分布を観察することができ、他の色素性病変との鑑別に非常に有用です。ADMに特徴的な所見として、灰色から青灰色の不規則な色素沈着や、網目状の色素沈着パターンを確認することができます。また、血管の拡張や色素沈着の深さなども評価することができます。

皮膚生検

診断が困難な場合や、他の色素性疾患(特に悪性腫瘍)との鑑別が必要な場合には、皮膚生検を行うことがあります。

後天性真皮メラノサイトーシスの治療方法

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の治療は難しいとされていますが、適切な治療方法を選択することで症状の改善が期待できます。当院では、患者様の状態や希望に応じて、以下のような治療方法をご提案しています。

レーザー治療

Qスイッチレーザー

Qスイッチレーザーは、ナノ秒単位の非常に短いパルス幅で高エネルギーのレーザーを照射します。これにより、真皮内のメラニンを選択的に破壊し、色素沈着を減少させる効果があります。複数回の治療が必要ですが、高い効果が期待できます。治療後に一時的な炎症や色素沈着が生じることがありますが、多くの場合、時間とともに改善します。美容的なシミについては自費診療で1cm以内5500円(税込)から施術しております。

内服療法

トラネキサム酸

トラネキサム酸の内服は、メラニンの生成を抑制する作用があるトラネキサム酸を服用する治療方法です。色素沈着の進行を抑える効果が期待できます。継続的な服用が効果的であり、長期に飲んでも安全性の高い薬剤で、耐性が生じることもありません。

トラネキサム酸

ビタミンC

ビタミンCの内服療法は、抗酸化作用を持つビタミンCを大量に内服する方法です。メラニン生成を抑制し、既存の色素沈着を薄くする効果が期待できます。

外用療法

ハイドロキノン外用薬

ハイドロキノン外用薬は、メラニンの生成を抑制する効果がある成分、ハイドロキノンを含むクリームを塗布する治療方法です。色素沈着を薄くし、新たな色素沈着の形成を抑制する効果があります。医師の指導のもとで適切に使用することが重要です。通常、2〜5%の濃度のクリームを使用します。長期使用による副作用(白斑など)に注意が必要です。

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